千早・赤坂城の戦い

この文章は、ウクライナのゼレンスキー大統領による国会演説前に書いている。ゼレンスキー大統領が、アメリカ連邦議会において行った演説で、真珠湾攻撃と9.11テロを並べたことについて、批判をしている人がいるようである。だが、今はそのことを批判している余裕はないように思う。ロシアがウクライナ侵攻に動員している兵力の中には極東を担当している東部軍管区(書いている人間の勝手な解釈で東部軍管区と書いている。)の兵力もあるようである。私は、日本にとって、現在進行形のウクライナ戦争は楠木正成の行った千早・赤坂城の戦いに比するができるように思っている。歴史学者の中には、鎌倉幕府はその極盛期に滅亡したもので、鎌倉幕府は衰退期が無かったと評価している人もいる。この説からいえば、楠木正成は千早・赤坂城に鎌倉幕府の大軍を引き付けることで、反幕府方の勢力が結集する時間、挙兵するだけの時間を稼いだことになる。ウクライナの国民には申し訳ないが、ウクライナ侵攻でロシアが損耗すればするほど、回復するまでに時間を要し、日本は対ロシア対策、対ロシア防衛力の整備ができる時間を稼ぐことができる。それだけでなく、ウクライナに対する支援が集まれば、それが前例になって、万一、日本がロシアに侵攻された時に世界から支援を受けられることになるように思う。故岡崎久彦氏の著書の中に書いてあったことだが、ソ連とフィンランドとの間のソ・フィン戦争では、予想できなかったフィンランド軍の善戦のため、イギリス等では本来的な戦略的価値を越えて、フィンランドを支援しようという世論の動きさえあったという。そのような世界的世論が形成されるためには、今回のことについて、日本がどのような支援をするかということもかかわってくるように思う。日本にとっては、ウクライナの問題は西の方の対岸の火事ではない。できる限りの支援をすべきであると思う。個人的には。ゼレンスキー大統領の求める対空ミサイルシステムくらいは提供してもいいように思う(法的な根拠は考えていない。)。

追伸

ゼレンスキー大統領のことについて、戦争が防げなかった指導者とする人がいるが、ウクライナ・ロシア国境から30キロほどの距離しかないハリコフが陥落していない。それだけ、徹底的に防御陣地を準備していたと考えられる。ゼレンスキー大統領は、ロシアによるウクライナ侵攻前には楽観論を述べていたようであるが、おそらく、ロシアを刺激しないようにしていたのであろう。一方で、ロシアにそれなりの目があれば、大変な損害を出すということがわかるようにして、ロシアのウクライナ侵攻を断念させるつもりだったのではないかと思っている。