仕入税額控除
令和8年2月に行われた衆議院議員選挙で、話題になった消費税減税の件が、あまりスムーズには進行していないようである。そのような話の中で、一つ気になる記事を見つけた。それは、消費税が1パーセントに減税された場合、農家によっては、負担が増えるという記事であった。消費税減税の話題の中で、ほとんど報道されていないが、仕入税額控除をどうするかという点に関することである。令和8年1月26日に行われた党首討論会で、高市首相が、食料品に対する消費税をゼロにするという点について、国民民主党の玉木代表から、「食料品に対する消費税をゼロにするというのは、非課税にするということか、免税にするということか」という質問に対して、「玉木さんは、この点について、2択で質問するが、そうではなく、自分としてはどちらかというと免税の方に近い」という趣旨の発言をしていた。それに対して、玉木代表が、さらに尋ねようとすると、司会者が議論は後でと言って、打ち切ってしまった。この点は消費税減税という点では大きな論点となることであるし、現在の議論の中でも、もう少し報道してもらえたらと思っている。前記の農家の負担が増えるという点については、記事を読んでも、計算結果しか無く、何でそうなるのかという点が明らかではなかったが、おそらくは、簡易税率控除を行うときの問題であろうと考えている。消費税の仕入税額控除は、消費税は事業者が自ら作出した付加価値に対する課税である消費税を納税するのであるが、その際、事業者は付加価値を生み出す際に支払っている消費税を納税する消費税額から控除できるという制度である。この仕入税額控除については、本則課税と簡易課税との2種類がある。本則課税というのは、事業者は、自らの支払っている消費税について、一々帳簿に記載し、確定申告の際、その総額を計算し、納税する消費税額から控除するというものである。これに対し、簡易課税は、事業種類ごとに、仕入税額控除の際に、何パーセント控除できるというもので、年間5000万円以下の売り上げしかない事業者が利用できる制度である。本則課税と簡易課税とを比較した場合、現在の会計ソフトを用いても、10パーセント課税と軽減税率の8パーセント課税があるので、経費の支払いごとに10パーセントの課税課8パーセントの課税かを分けて帳簿に記載していく必要がある。そこを誤らなければ問題ないといえば問題ないが、年間売上5000万円以下の事業者の場合、経理専門の従業員を雇用することには無理がある。一方、簡易課税の場合、売上金額さえ誤らなければ、簡単に計算できる。簡易課税の例を簡単に言うと、100万円の消費税を納税する事業者がいたとして、仮に、50パーセントの簡易課税が適用できる事業者だった場合には、50万円を控除して50万円を納税するということである。この点から考えると、消費税が1パーセントの場合、年間売り上げが1000万円だとすると、10万円を納税することになるが、簡易課税を利用していると、仮に簡易課税の率が50パーセントだとすると、5万円しか控除できないことになる。しかし、実際上のことを考えると、おそらくは10万円を超える消費税を支払っている事業者が多いと思われ、本則課税にしていないと仕入税額控除で控除できない金額が多くなり、簡易課税制度を利用していると思われる小規模農家の負担が増えるということなのであろう。だが、この点は、農家だけの問題では無い。販売している商品の中で食料品が大きな比重を占める事業者で、簡易税率制度を利用している5000万円以下の売上規模である事業者の場合も大きな問題になる。なぜか、消費税減税の議論の中で、このことが話題にならないのか、正直なところ、意味不明である。もう少し、丁寧な報道が欲しいと思っている。
